フィリーソウルは売れ線だけど

・・・・バンド練習でした。本番前のゲネプロ、6曲2回通しで疲れました。もう落っことした音は弾かない。和音の連打でごまかします。これができるのがロックやジャズのいいところさ(核爆)

・・・・さて、たまには専門(?)の「懐かしい70年代洋楽」について書きますか。

ここしばらくカタキにして聴きまくっているのが「フィラデルフィア・ソウル」。その中でも、非常〜〜〜に「軽薄で、売れ線で、ロクなもんじゃねえ」と、コアな洋楽ファンには総スカンを食らってる(笑)この二つの黒人コーラスグループが良くて、浸りきっています。

■スタイリスティックス
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■スリー・ディグリーズ
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・・・スタリスティックスは男性五人のコーラス。リードボーカルラッセル・トンプキンスの「激甘のファルセット」が、なんといっても売りでした。「誓い」「ストップ・ルック・リッスン」など、徹底的に甘くトロトロに、とろけるようなバラードが素晴らしい。
やがて70年代も後期に入っていくと、このグループも当時流行の華麗なアレンジによるディスコサウンドへ変貌していきます。「愛がすべて」「16小節の恋」などは日本でも良く知られた曲で、絶対聴けば解ります。楽曲の完成度と相まって、本当に素晴らしいです。

・・・スリー・ディグリーズは女性三人のコーラス。ここはやや「セクシー路線」でして(#^^#)深いスリットのドレスでボイ〜〜ン(死語)というコスチュームでした。まあソウル・黒人女性コーラスグループは、大昔から皆「エロかっこいい」路線でしたけどね。

この3人組は「親日派」の最たるもので、面白いのは「日本の作家による曲」を、来日時に2度?3度?と録音しているんですね。74年には全編日本語で歌った「にがい涙」という曲も発表しています。このスタッフが興味深い。作詞=安井かずみ、作曲=筒美京平!、編曲・キーボードが深町純、ベースが細野晴臣、ギターが鈴木茂。今ではもはや考えられないメンツです。まあこの曲自体はエグイ歌謡曲と捉えられても仕方のないものですが、それにしても、こういう彼女たちのような試みが、日本でのソウルミュージックに対する理解に貢献したのは確かです。

・・・この二つのグループが黄金時代に在籍していたレコード会社「フィラデルフィア・インターナショナル」という所が、これがまた面白い。単なるレコード会社ではなくて、専属のおかかえ作曲家、おかかえバンドを持ち、限られたスタッフでサウンドメイキングの面まで徹底的に管理して行う。すると、アレンジの雰囲気、録音時の音質まで、ひとつの共通したカラーが出てくる。悪く言えばワンパターンともいえますが、聴く人は「ああ、例のあのサウンドか」と覚えて貰える。これが「フィリー・サウンド」と呼ばれていくんですね。

・・・・この、レコード会社主導の方法論は、バンド・グループ内で楽曲を自作し、演奏も自分たちで行う現代の「ロック」よりは、明らかに遅れた方法論です。まさに大昔の歌謡曲、あるいは「つんく&モー娘」の状態ですね。「売らんかな」の会社意図優先は、アーティスト側に歓迎すべき方法論ではなく、案の定もめ事も多く、この方法論は廃れていきます。しかし、だからこそ、売れ線と職人芸との狭間ではさまれ、ぎりぎり妥協しながら、白人と黒人がぶつかりながら紡ぎ出された彼らの音楽………70年代ソウルミュージックは、そこんとこが、面白いと思うんですね。