越えられなかった中年クライシス〜坂井泉水の死〜

・・・昨日から、なんか自分でも意外なほどショックです……。

ZARD坂井泉水、転落死
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070528-00000024-mai-soci

・・・ファンの人には申し分けないけど、ボーカリストとしても作詞家としても、あまり好きになれない歌手でした。でも、いざ亡くなるとなると……。

・・・90年代前半、小室サウンドと同時期に売れていた彼女は、何か「作り上げられた」アーティストというイメージがありました。事実「ZARD」は、バンド名義は取っているものの、実質は坂井泉水のソロプロジェクトでした。その歌声も、偏見かもしれませんが、薄味で、何か「音楽でなければ絶対ダメ!」という気概がつたわってこないというか。えぐさ、熱さ、したたかさが、どうにも届いてこなかった。

・・・彼女は、私の中では「幸運な天才的素人」ということかなあ。うー、どうしても否定的な意見だ。ごめん。(><)

・・・彼女が爆発的に売れていた頃、新宿駅小田急線のホームに、これでもかと連続して何枚も、例の横顔のポスターが張り出されていたのを、不思議と覚えています。ラジオなどではばんばん曲がかかっているのに、テレビにも出ない。コンサートもやらない。ライブツアーなど、やっと2004年になってからやっただけ。この、わざとメディア露出を減らした、ミステリアスなプロモーションの方法論が、はたして彼女本人の意図だったのか、それとも事務所の戦略か。それで本当に良かったのか。今となっては訊くすべもありません。

・・・不惑の年代に突入する時期に、音楽的に時流に取り残されていくのを感じていたのかもしれない。そこへ健康を害した。中年の危機、ミドルエイジ・クライシス。越えられなかったのだろうか。結婚して子供でもいれば違ったのか。3年前から頚椎を患っている自分にとっても、まったく他人事ではない。

・・・その死は、滅多なことは言えないが、やはり自ら発作的にピリオドを打ったとしか、考えられない。大昔からこういう薄幸なミュージシャンの死は、数々伝説になっているけど、現代ではカッコ悪い姿だと思う。生を全うしてほしかった。でないとファンに、自分より若い世代に、示しががつきません。

・・・でももう遅い。ご冥福をお祈りします。M(__)M