中村とうようさんが


音楽評論家の中村とうようさんが亡くなった。転落死。飛び降りかもしれない。ショックです(TT)


中村とうようインタビュー
http://www.fmp.or.jp/award/interview02.html


毎月、ミュージシャンのイラスト表紙が印象的だった音楽雑誌「ミュージック・マガジン」の創刊者。ここ十数年は編集からも経営からも退いていたようだ。ここ5〜6年買ってなかったけど、高校・大学・社会人になってからも、この雑誌には本当にお世話になった。ロック一辺倒だった自分に、「英米以外でも、素晴らしいポップスはいっぱいあるんだ」ということを教えてくれたのは、他ならぬとうようさんだった。


アフリカ音楽やインドネシアポップス等も紹介してくれたが、私は特に「MPB=ブラジル・ポップス」に心惹かれた。伝統的なサンバだけではなく、ロックの影響を消化した素晴らしいシンガーソングライターたち……カエターノ・ヴェローゾとかジルベルト・ジルなんかには、とうようさんがいなかったら出会っていなかった。


音楽の聞き方の根本も、とうようさんに鍛えられた面がある。私が中学生の頃はパンク隆盛で、なんというか「音楽の実質よりラジカルな思想が大事」みたいな風潮すらあった。ケツの青い中坊の私は、本当はよくわからないくせに、ストラングラーズとかジャムとか聴いていた。そこに、ブルースとかゴスペルとかを、とうようさんが持ち出して来た。「本当の音楽は、泥臭い大衆性と、歌のうまさとかそういう肉体性も大事なんだ」「頭でっかちに音楽にはまっちゃ駄目だよ」って、そんな風に、教わった気がするんです。


その基本は、今も変わってない。変えようが無い。


実は中村とうようさんは、手塚先生やジョンレノンと並ぶ、人生の師匠だったかもしれません。合掌。