世話焼きの心意気


・・・ちょいと、テレビで見て(というより聞いて)感激した話。


鎌倉で、そこいらの商店街では有名な「世話焼きおばさん」が居ます。恰幅がよくガハハと笑う、まー結構どの町にも居るおばはんです。ご近所さんが入院したとかいうと、介護の家族に代わって買い物を手伝うとか、お年寄りだけの家庭を回ってお茶飲み話をするとか、そういう、人が根っから好きな人ですね。(^^)


その方以上に、亡くなったお母さんという方が、輪をかけて世話好きだったそうです。料亭のおカミで裕福だったせいもありますが、困ってる人のためにお金を用立てたりと、そこまでするか!というぐらい、他人様のため尽くした人だったらしい。


そのお母さんがご病気になられた。もう老境で帰れないかもしれない。でもアレほど世話をしたひとたちが、誰も見舞いにも来ない。娘さん……現在の世話焼きおばさんは、介護をしながら「お母さん、あれほど世話焼きしたのに、誰も来ないなんてひどいよね、大損だよ」と嘆いた。


したら、お母さんいわく、


「あたしが良かれと思ってやったことで、損得とか見返りのためにやったんじゃないよ。あんたにどういこう言われる筋合いじゃないよ」と。


・・・この言葉で、はっとしたそうです。


「心意気」って言う言葉があります。日本人は宗教観や倫理観が薄い、世間体や恥とか、表面的な理由が行動基準だ、とかいう外人学者も居る。とんでもない間違いです。変な宗教の縛りがなくたって、「心意気」だけで、このお母さんのように、世間に尽くして人生を全うした。こうした人は、いっぱいいっぱい、居たんですね。