東京モダン・萌えの心臓


・・・こんなテレビ番組があった。


■BSハイビジョン特集 シリーズ 東京モダン・萌えの心臓
http://www.nhk.or.jp/bs/hvsp/
インド人若手映画監督が、「少女漫画同人誌」の世界に「萌え」「ボーイズラブ」の秘密を探る。


・・・なんだかなああ、とは思ったが、萩尾望都先生のインタビューがある(!)ってんで観てみましたけど。案の定「外人から見た不思議の国ニッポン」の範疇から抜け出しませんでした。これでは日本人は、特に少女マンガを知っている人は、見る価値がないよ。


この監督は、同人作家の女性たちへのインタビュー他、印刷屋のオヤジに至るまで、かかわる人にかたっぱしからインタビューを試みている。答える側はそれぞれの立場で誠実に答えている。でも、どこまでその答えを理解しているのかが、いまいち謎。心理面について、なんかつっこんで聞いていかないのだよね。


例えば、何故ボーイズラブ作品を好きになるに至ったのかの核心……いろいろあるし難しいし、男である自分じゃ、完全には解り得ないけど、


「普通の男女の恋愛漫画だと、むしろ女性キャラが邪魔。かっこいい男性キャラだけ居てほしい。それだけで恋話や性愛の世界が展開されるなら、そっちのほうがいい」


・・・とかいう腐女子の、ある意味ナイーブな、多分に性的な理想を、そのまま話を聞いて放送はするけど、「ほうほう、ふむふむ」で終わってしまって、その先がない。「この監督分っているのかなあ」と思う場面が、しばしばあった。こっちとしてはその先にある、恥じらいやコンプレックスやらを含んだ性愛意識にまで、話を持っていってほしいのに。


萩尾先生のインタビューも、ファンにとっては珍しい物ではなかった。


「何故少年愛の設定にしたのですか?」
「男女の恋愛だと、自分の女のどろどろが出てくるけど、少年愛だと、もっとさっぱり、純粋な愛の部分を理想的に描けるから。」


この答えも私にとっては承知の部分だ。ただ決然と語ってくれたのは気持ちが良かったけど。


というか、ボーイズラブのインタビューなら、波津彬子先生あたりにすべきじゃないかと。


フランスではジャパン・エクスポといって、日本アニメ・日本漫画の大イベントが、もう何年も前から開催されている。少女マンガ特有の「ボーイズラブ」がどこまで理解されているかは、ここでも謎だけど、せめて、そういうのにかかわってコスプレとか経験のある女性監督に、作ってほしかったです。