もの言えば 唇寒し


・・・昨日は運転免許の書き換えでした。完全にペーパードライバーで運転はしないけど、身分証明書がわりに更新です。20代にとった時は非常に苦労もしたし金もしこたまかかったしね。


1時間の講習はまあ通り一遍のものでしたが、そこで使われた資料のパワーポイントのスライドが、無駄な文字回転アニメやブレーキ&クラクションの効果音がいちいち毎ページに使われ、思わず失笑を買う出来。おかげでそっちばかり気になって、講習の内容がちっとも頭に入ってこない。これって県警察がちゃんと発注して作らせたんだろうか。デザインも全然よくないなとか、仕事柄そんなことばかり考えて終わってしまいました。


さて。]


「もの言えば 唇寒し 秋の風」(芭蕉


・・・思いっきり季節外れの句ですが、最近よくこの句を思い出します。年を取って脳機能が衰えたのか、最近しゃべることが億劫に思うようになってきた。人と会話していても、何かを説明している最中にふと、しゃべってる自分がむなしく思えて、言葉を飲み込んでしまう。ひどいときには「もういいや」と、会話を中断してしまう。


・・・亡くなったうちの親父は、非常に無口な人で、家ではほとんどしゃべらないような人でした。家族にとっては気が重くなるようで、私はこんな親父みたいにいつも仏頂面でむすっとしているような男にはなるまいと思っていました。それが今、結局親父と同じようになってしまっている。


・・・年を取ったせいだけではなく、引きこもり的に人とのコミュニケーションを避けているわけではない。なんというか、世の中のありとあらゆる「もの・こと」について、口泡飛ばしてしゃべって主張する、それだけの価値のあるものが、あんまり無い気がする。熱くなれないというか、好きなことにすら冷めてしまう。俺を熱くさせない世の中が悪いのさ、とカッコつけていってみたりもするが、この減退感こそが、結局は年を取った証拠なのかもしれない。