Negicco「アイドルばかり聴かないで」


・・・ついに来た。来たと思う。推していたアイドルのブレイクの時が。新潟を本拠地にネギを持って活動10年。「こんにちネギネギ〜!」の掛け声も楽しい、ローカルアイドル日本一に君臨する「ねぎっこ」だ!!


Negicco「アイドルばかり聴かないで」PV



・・・ピチカートV小西康陽作曲。まさに怪曲名曲である。「どんなにアイドルにお金を積んでも、キッスとか結婚とか、出来ないのよ!ざんね〜ん!」と、アイドルがヲタファンを責めるサドマゾの構図!(お遊びですけどね)。「普通の人はCDなんてもう買わなくなった」なんてフレーズも、しれっと入れてある。現代の歌謡界、社会をも揶揄しているのだ。


曲はまんま、かつての渋谷系ピチカートV。モータウンの要素もちらほらする70年代リスペクト。J−POPの歴史をほじくり返し、渋谷系という亡霊を呼び起こした。これはもはや単なるアイドルソングではない。J−POP 史上に投げ込まれた毒薬に等しい。(←ちょっとおおげさか)


ともあれ近年、こんな楽しい曲はなかった。地方の恵まれない環境で苦労を重ね、それでも実力を磨いてきたこのグループにふさわしい。棘の部分も愉快痛快なアッパーチューンだ。大推薦!






Negiccoについてもう少し書いておくか。オフィシャルサイトやツベを調べれば分かる事ではあるけど。
まず私が、一番最初に偶然見た動画がこちら。


Negicco - ねぎねぎROCK〜私もお家に連れてって〜



何だか昔のキャンディーズみたいな出で立ちのアイドルだなあ。でも夕暮れの水辺で気持ち良さそうだなあ、と思ってみていたら、やおらネギを取り出し、客席に投げ始める!そして始まったネギネギソングに、私は度肝を抜かれ、腹を抱えて笑ってしまった。しかしこの素っ頓狂なコミックソングでも、歌は水準を超えているし、ダンスは合ってるし、MC進行も上手い。「このお姉ちゃん達、何者??」と、興味を持ったのがきっかけ。で、新潟の農協でネギを宣伝するために作られたローカルアイドルNegicco」だと知る。


Negicco「恋するねぎっ娘」(2003)



・・・これが2003年末に出たデビュー曲。当初は4人組で、まったくのお子様だ。しかしCDが一応全国発売となり、国営放送に出演したり、話題になったらしい。今聞いてもサビのインパクトは絶大でぶっとぶ。(^^;


しかし不運は訪れる。所属する芸能スクールが閉校になってしまったのだ。さらにメンバーの一人が辞めてしまう事態も起きた。もともとガキんちょユニットだったし、これで終わっても良かったのだが、何故か地元の弱小会社に拾われ、以降新潟県内のイベント等で歌い踊る活動を続ける事になる。


時は流れ、メンバーも学校を卒業する年齢となる。これで芽が出ないなら解散の覚悟をした2009年、Gyao主催の「勝ち抜きアイドル天国」と言う番組で6週勝ち抜き、ブラザートムやローリーの推薦もあり、メジャーデビューの権利を得たのだ。しかしここでも、Gyaoの経営危機&身売りで、デビューの話が流れてしまう。(TT)


しかしめげない彼女達は翌2010年「UMUアワーズ」という、全国ご当地アイドルコンテストでグランプリを獲得。翌2011年夏に、アイドルヲタで有名な、現タワーレコード社長・嶺脇育夫氏に見初められ専属となり、インディーではあるがコンスタントに全国規模のCDリリースが出来るようになったと。


Negicco「スウィート・ソウル・ネギィー」「トキメクMERMAID」(ライブハウスヴァージョン)



愉快なネギネギソングを歌いつつ、彼女達はこんなカッコいい系クラブサウンド曲を得意としている。このディスコ曲群のクオリティーの高さにもまた驚いてしてしまう。手がけているのは地元新潟のサウンドリエーター・Connie氏。(http://connie.fc2web.com/)結成当初のNegiccoを見て、あまりのポンコツぶりに感動し、曲を書くようになった。最初は「無料提供」だったらしい。以降ずっと、Negiccoと4人8脚、頑張っている。


とにかく何度も書くが、恵まれた東京の芸能プロやAKBのような所ではなく、全て地方で作り、地方から発信した音楽&パフォーマンスが、ここまで中央のレベルと同等に勝負出来る事は、すごい事だと思うのだ。ハイ・アマチュアがプロフェッショナルを打ち負かすことも、今は十分出来るのだと言う事を、是非実証してほしいと思う。