1冊の少年ジャンプが


・・・震災がらみの話はうんざり、の部分もありますが、これは良い話だと思ったので。


■伝説の「ジャンプ」 仙台の書店主が集英社に譲渡
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111230-00000014-khks-l04


3月21日、物流が止まって雑誌が入荷しない仙台市の書店。営業は再開したものの、最新刊は入荷未定で、店主はお客さんに謝るしか無かった。特にがっかりした子供の顔を見ると胸が痛んだ。


とある男性客が「山形で手に入れたので置いていきます」と、19日発売の「週刊少年ジャンプ」最新号を置いていった。店主はすぐに張り紙を出した。「少年ジャンプ3/19日発売16号 読めます!! 一冊だけあります」


情報は口コミで広がった。小中学生らが次々に訪れた。順番待ちになることもあり、10キロも離れた自宅から自転車で読みにやって来た子どももいたという。・・・・


・・・同じ頃、自分は某体育館で段ボール避難生活をしていた。3日に1回ぐらい2キロ離れた街まで歩いて最低限の生活必需品を買いにいくのだが、その度に、一軒だけあったネットカフェが、営業再開してくれないかなと、地震でめちゃめちゃになった店内を恨めしく見ていたものだ。


衣食住満ち足りてこその娯楽、死ぬか生きるかの時にはまるで役に立たないしそれどころではなくなる。しかしそれでも、求める人は求めてしまうんだね。「伝説」は大げさかもしれないが、たかが漫画本1冊が「砂漠の水」になる。


ジャンプを寄贈したお客も、立ち読みできるようにした店主さんも、そんな「人の娯楽の乾き」がわかったんだね。商売上求められて当然のことをしたんだけど。仕事とか商いって、まずは生活のためのお金を稼ぐ事だけど、「社会奉仕」の役割もあると思う。その意味で、この出来事はなんともすがすがしい。


復興して娯楽も街にあふれ返った現在、この味わった乾きと飢えを、忘れないようにしよう。