避難所日記その4


・・・タコ部屋集団生活だと人間関係の軋轢に24時間さらされる。隣近所づきあいが得意な人はいいが、人他人と関係を取り結ぶのが苦手な人は、なおさらストレスにさらされる。しかしこういう非常時、隣近所との人間関係調整能力があるかないかが、難局を乗り切れる死活問題にもなる。ほがらかで人好きな人、まめに動く人が、「人間力が高い」ということに、なるのかもしれない。


避難所も少し経っていろいろ回転し始めると、常駐している役場職員から「自治会を立ち上げてくれ」と言われ、いろいろ当番が割り振られたりする。消防団の「若い衆」が、大変な思いをしていろいろやってくれているが、それだけにまかせっきりではどうかというのだ。


最初、地区でも割と名のある(?)おじさんが、班長と言う形で、連絡事項のとりまとめとか、バス移動の引率とか、いろいろやっていた。ところがこのおじさんが、キャラ的に愛想が余りよくない(苦笑)一生懸命にやってくれるのだがどうも言い方にトゲが出て来る。そのうち周囲から不満が出る。「あんたのその物言いは・・」と言われる。当然ブチキレ、「そんな言われるならやめるわ!」となってしまった。で、この班長おじさんは病気になって、2〜3日入院したそうな。


代わって班長に推されたのは、体育館で一番元気が良かった「ヤンママ」・・・小さい子供3人抱えた、どう観ても元ヤンキーの、30前半の若い奥さんだった。このひとがまあ、前述した「人間力」が高い。ほがらかで誰に対してもまめで、もーうるさいくらい(苦笑)その彼女ともうひとり、地元で化粧品販売をしている、これも30代前半の女性の方、が協力して、班の調整に当たることになった。お二人とも人付き合い・人間関係調整が得意そうで、かつ女性なので角が立たない。お二人大変だったが、その後の運営はなんとなくうまくいった。


この出来事をみていて、なんか胸につまされる思いだった。


自分はもちろん、無愛想なおじさん班長のキャラに近い。あいさつ元気に朗らかに、他人のためにさらりとまめに行動、が、どうしても出来ない。自分の能力(体力知力&ルックス)に自信がないせいだ。他人のためにやっても「俺なんかじゃ逆に迷惑だろうな」とか考えてしまう。人間力がないね。


こういう非常時災害の場合、「人間力の高さ」が問われる。朗らかな人はやっぱりいい。でも、そうでない人。暗い人、自信がなくて非協力的に見える人、も、人間として生きる権利がある。そういう人をどうするか。自覚があればいいけど、自己分析できない人もいる。困ったチャンになってしまう。


その上に、本当に体がうまく動かせない、年寄りや身障者がいる。


避難所での人間関係の問題・・・これは本当に、難しい問題です。ひいては自分の力が問われるし。実はこれが、一番の難題かもしれません。