アマデウス


そして2本目は、モーツァルトを題材にした映画「アマデウス」。これは公開当時、劇場で見ました。思い出に残る名作です。


主人公はモーツアルトではなく、ライバルのサリエリです。彼が嫉妬心から、モーツァルトを精神的に追い込む巧妙なわなを仕掛け、死に追いやる。ただしこれは完全なフィクションです。史実では、レクイエムを頼んだのはサリエリではなく、なんとかいう伯爵の「使者」が頼みに来たそうです。ただ「ゆえあって依頼主は明かせない」と、匿名だったのは本当です。その伯爵、自分の作曲名義でレクイエムを発表しようともくろんだんですね。病床でサリエリがレクイエムの口述筆記を手伝ったのもウソ。本当は弟子のジュスマイアーと言う人がやったそうです。


本当のサリエリさんは、モーツァルトのことなど「眼中になかった」のではないかと思いますね。(^^;; 。


映画自体は本当に名作と思います。ストーリーやキャラの性格づけの深みも、いいんじゃないでしょうか。サリエリの、モーツァルトに対する「愛憎愛併せ持つ」複雑な感情が、よーく表現されていましたし。モーツァルトも、ちょっと奇矯な「紙一重の人物」として描かれている。そこがちょっと、戸惑ったところです。しかし、あの自信過剰ぶりも、革新的な青年作曲家なら、権威には反抗するだろうし、あのぐらいのことは言うかもしれないと思わせてくれます。


最後、サリエリに対して「あなたはてっきり、僕のことを評価していないもんだと思っていた、疑っていた自分が恥ずかしい」と告白するシーン。無垢な子供のような彼の弱さ。人間としてのいとおしさが伝わって、泣けました。


そしてまた音楽が綺麗です。英国のネヴィル・マリナー指揮、アカデミー室内管弦楽団が音楽担当です。ウイーンやベルリンばかり有名ですが、この楽団・指揮者も、モーツアルト解釈は当時最高といわれていました。エンドロールで流れる、「ピアノ協奏曲20番2楽章」が、最高なんだなっ。