小さな会社の大きな支え


はああ、五輪も終わってしまいましたね。やや脱力・


さて、スピードスケートの田端・穂積両選手の、所属会社がちょっと話題だ。富山の、失礼ながらホントに中小企業、地方のどこにでもありそうな小さな建設会社だ。


http://www.daichikk.co.jp/


従業員は40名ほど。測量ボーリング、のり面工事と、技術はあるのだろう。しかしどう見ても、この会社だけでオリンピック選手の活動費をまかなえるとはとうてい思えない。他にも支援団体はあると思うが、それにしても極端にカネがないだろう。何でも、社長も自分の給料を削って出しているとか。


この話を聞いて思い出したのが、亡くなった指揮者の岩城宏之さんが本で紹介していた、オーケストラ楽器の、主にハープ専門の運送会社「田中陸運」である。


http://www.t-rikuun.com/#/company/


ここは老舗だが、やっぱりただの零細運送会社だ。昭和30年代半ば、ハーピストのヨセフ・モルナールという人が、たまたまここにハープ運搬を頼んだことから、評判が広まって、気が付いたらハープ&オーケストラ楽器運搬のプロに「させられてしまった」という。


それだけならまだいい。ここは「日本フィルハーモニー交響楽団」の、事実上の楽器運送業務全般をやっている(いた?)らしいのだが、貧乏オーケストラからはカネを取れず、それどころか自社の4トントラックを1台、楽器用に提供してしまった経緯があるそうだ。中を楽器専用に改造したおかげで他業務には役立たず。楽団の全国公演の運転手も、この運送会社の従業員がつとめていたという。もちろん破格の値段でだろう。慈善事業である。


あ、でも今は、日本フィルも、以前よりは貧乏ではなくなったみたいです。


スポーツや文化を賞賛し、ヒーローヒロインを口では讃える。でもその手の文化予算、環境施設や選手待遇などは、先進国中最下位。企業は不景気になると運動部を真っ先に潰し、国は仕分けと称して予算を削る。そのかたわらで、こういう、名もない零細民間企業が、スポーツを、文化を支えているのだ。この構図をどう見るのか。