中年期の価値の転換点


・・・音楽を聴くでも、映画を見るでも、本を読むでも何でも、メディアから受け取る表現・エンタテイメントは、一回こっきり、聞き終わって、見終わってしまえばおしまいだ。どんなにお金をかけても時間をかけて見つけたものでも同じこと。なるべく繰り返し鑑賞しても飽きのこない表現物を選んではいるけれど、表現である以上、初回の興奮の後の追体験は、どうしたって色あせたものになる。その事実が、最近ここ数年来すごく、空しく思えてならない。


・・・翻って最近では、金で買えるモノは、あんまり自分の心を満たしてくれないなと思うようになった。今も、あれほど学生時代欲しくて憧れていた、夢だった、CDや楽器やコンピュータを手に入れた。でも全部そろえて、音楽も聴き放題、曲も作り放題、はいどうぞやってくださいとなると、なんと空しいことだろう!部屋にある機械類なんか全部海に沈めてしまいたくなる。


・・・ロックおたく、少女漫画おたくが、こんな思いを抱いてしまうってことは、実は自己存在の根幹を揺るがすような大事件だ。もう自分の中では、価値が分からなくってグラグラになっている。それだけですごい不安だ。


・・・どうしよう。今後の人生、老境の下り坂に心のよりどころとすべきものが、もはや揺らいでしまった。ヲタのまんまで生きられないことに気が付いてしまった。自分のオタは、人付き合いからの逃げであることに……そしてなにより、自分のコンプレックスからの逃げであることに、気がついてしまった。どうしたって、快活で健康で、まっすぐ人付き合いができて、そんな生き方の方が良いに決まっている。人の輪の中で、酒を愛し冗談を愛し、多少おせっかいなど焼きながら、ガハハと生きられるなら、そっちの方が良いに決まっている。


・・・でもどうしても、自分はそれが出来ない(泣)


・・・泣き言日記になったが(苦笑)明日からネットもMIDIも放り出してフォークギター一本の弾き語りになろうとか、はたまた明日から体を鍛えて何かスポーツ選手目指そうかとか(笑)るいは反動的に、鉄道模型に手を出してそれを極めようかとか(笑)そんなことまでふと考えてしまいます。中年期の価値の転換点。