頑張れば夢かなうは幻想


ほお、と思った記事


■「頑張れば夢かなうは幻想、傲慢」 山田太一発言ネットで大反響
http://www.j-cast.com/2008/02/17016615.html


脚本家の山田太一氏が「頑張れば夢が叶うというのは幻想だ」と雑誌で発言したそうです。「うまくいかないのが当たり前で、ある程度のところで、普通がいいんだと思わなければ、挫折感ばかり抱えて心を病んでしまう」と。


・・・これは、よくぞ言ってくれたと思いますね。一見後ろ向きな発言ですが、私は真理だと思う。「隣の芝生は青い」とよく言いますが、マスコミやネットが発達した現代は、かつてないほど「青い芝生」を数多く見せられます。


例えば、美男美女のロマンチックな恋愛物語、外資系企業でのサラリーマンとして活躍、そして都市郊外での平和な一戸建て生活、それが自分の身の上にも、叶うと思ってしまっている。叶わないと「こんなはずではない」と思い、仕事を変え恋人を変えていく。心理学では「肥大した理想自我」なんて言葉でいわれますね。で、ある日突然どーんと失敗して、何もなかった自分に気がつく。


「自分の夢を叶えるために頑張る」ことは素敵なことです。でもそれが人生の究極の目的ではないと思う。夢の実現に成功しても、その陰で家族が泣いていたのでは、周りが敵ばかりで潤いある人間関係がないのでは、何もならない。


大企業の部長とか重役になっても、仕事はできるかもしれないけど、部下をあごで使って、気にくわないことがあると当たり散らし、パワハラのオンパレードでは、それは人生の敗残者だと思う。


また逆に、なりたい自分になれないからと、すべてを放棄して引きこもったり、犯罪に走ったり。それもこれも、高すぎる理想と夢に挫折して、心を病んでしまった結果だと思う。


「平(たいら)な人生、円満な性格と人間関係」これを築くことの方が、遙かにすばらしい。そして遙かに難しい。山田太一氏は、アメリカ的な考え方に影響されて膨らみすぎた「日本人の自我実現理想」は、方向性が違っているぞと、そう言いたいのではないでしょうか・・・