中国戦、そして6位でお疲れさま!

いやーヴァリボ世界選手権。最終戦はさすがの中国に負けました。「いつの間にか点数を取られている」と、解説の中田クーミンも言ってましたが、今回も中国はそんな感じです。とにかくサーブ、レシーブ、トス、アタック、全てが速くて正確。だから、プレイ全体が楽々してるように見える。ラリー中でも速攻をからめてくる余裕いうか、本当は日本がこういうバレーをしたいことを、やられちゃってる、そんな感じでしたね。対する日本は、疲れもあったかなあ。特に繋ぎ役の木村、高橋は、ヘタって居る感じでした。

ともあれ、今回の女子大会は、面白かったー! 最初始まる前、メグカナ揃って離脱のニュースを聞いたときには「ああもう今大会は2〜3勝ぐらいしかできん、捨てよう」と、本気で思いましたモン。それがここまで来た。世界ランキングの7位より一個上げた6位という結果は、世界のヴァリの情勢と日本側の状況を加味すれば、本当に御も御の字大殊勲と言って良いでしょう。夏の大会の時よりも、レシーブは粘って繋げていたし、課題のブロックの強化とサーブの強化は、格段に良くなった。荒木・木村は、完全に中軸として計算できるレベルに成長したし、そして何より、新しいエースとして、小山ワンジョーが名乗りを上げてきた。自分は正直、ここまでやってくれるとは思いませんでした。大山も栗原も、ケガなんぞしてる場合じゃないぞ。でもこの二人のケガが治って復帰した場合、今のこのチームにさらに上乗せになる。その時こそ本当に、柳本ジャパンの完成の時かな。楽しみは先延ばしでとっておきましょう。

今年はこの後、暑い暑いカタールのドーハで「アジア選手権」があるはずです。日程キツイし、正直モチベーションは一旦切れてしまう。大変でしょうが、ケガをしないで頑張って欲しい。

と、ほんでもって男子が始まりますっ! といっても男子ヴァリボは、正直あまり萌・・もとい、燃えないのですけどね。世界ランキング的にもかなり厳しいはずですし。

でも!今の植田監督は、就任後すぐに、ヴァリボ界最年長(?)荻野選手をキャプテンに指名しました。これでチームに軸が出来た。前の大会では、この荻野選手をセッター対角に置いて、結構成功したはず。加えて今回は、不調で全日本を離れていた、イケメン2mサウスポー、山本選手が戻ってきた。アテネ五輪予選で悩み苦しみ、地獄をみたこの男が、どんなプレイをみせてくれるのか。そして私の好きな、弾丸サーブの越川選手と、役者はむしろ男子全日本の方が揃っている。粘っこく食い下がる戦いはむしろ、女子よりも男子の方に期待したいです。

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もいっこ。ヴァリボ書かせてね。

女子の最優秀選手に、我らが日本の「竹下佳江」選手が選ばれました!ぱちぱち、おめでとう! 昨日の深夜、その発表のシーンが少しだけテレビ中継されました。本人よりも側にいた木村サオリンが大泣きしていて(笑)いい光景でした。良かったです。

で、それについて「主催国に配慮して手心を加えた」という批判も、一部であるようですが。どうなんでしょうね。世界ヴァリボ協会が、手心を加えて日本のマスコミやスポンサーにおべっか使っても、それで利権が動くとは思えない。バブル時期ならともかく、今や2流の日本企業にそんな体力はないでしょう。それに「企業メセナ」意識のない、儲けがなくなりゃ掌返すあてにならない日本のやりかたは、毛唐さんもよく知ってるはず。手心を加えられるほど、日本はもはや大物じゃないよ。苦笑。

だから、この竹下選手の受賞は、断じて不正などではないと思う。胸を張って良いと思う。データ・IDヴァリボは最終個人成績にも取り入れられ、得点率のみならず、守備の成功率、トスの成功率まで、きっちり数値で算出される。千本以上上げて失敗がたった2本という、素晴らしいデータがすべてを物語る。加えて、審査員たる外国人記者へのアッピール度。「あの小さなジャパンのセッターの頑張りはマーベラスだ!」と写ったのだろう。彼女のガッツある守備の印象も、時々出る「奇跡のブロック」の印象も大きい。

(こっからは「プロジェクトX」風に読んでね。笑。)
竹下は、Vリーグ入団当時から「最低身長選手」と話題になった。「リーグでもこれじゃ通用しない。ましてや代表ではとても……」と言われた。だが彼女は、背が低いハンディを技術とスピードを徹底的に鍛え上げて補った。代表に呼ばれて前々回のシドニー五輪予選、負けた。ファンから叩かれた。(今でも「背の低い竹下は要らない」議論はファンの間で続いている)そして一時、彼女は完全にヴァリボを止め、もんもんと一年を過ごす。後に「セッターの大型化は、日本にとっては必要なこと」と、竹下本人が語っている。状況は自分自身が一番よく解っている。それでも、止められなかった。カムバックした彼女は、バッシングの声を鋼のように跳ね返し、仕事に専心した。そして、大きな代表の小さな主将として、背中で若手を引っ張る現在に至るのだ。

どうだろう。アスリートとして、これだけ立派な人はそうざらにいないと思う。MVP最優秀選手が、数値だけで選ばれるなら、それは最優秀「性能」選手と呼び名を代えるべきだ。いま、いじめにあって辛い子、何かの夢が破れて途方に暮れた人は、ぜひヴァリボ会場に行って、生の竹下選手の姿を見ると良いと思う。ただプレイする姿だけで、きっと、泣けるよ!(TT)