ポール続きでビートルズ
と、前回からの話の流れからすると、ビートルズについて書かねばなりませんか?
完全に宣言しますが、自分はビートルズの中でも「ポール・マッカートニー派」です。確かにジョンも好きですが、なんてったってビートルズの名曲群の内「甘美なメロディー」部分を体現していたのはポールです。(極論承知!)
坊主頭の田舎の中学生がビートルズを初めてカセットテープで聴くとき、英語もわからない、ルックスの情報もない、あるのはただ音、サウンドとメロディーだけです。そんな状況で、ジョンの体現していた哲学的な詞や、その姿勢のかっこよさなどわかるはずがあるでしょうか。サウンドだって、私が中学当時の76年頃、すでにビートルズの音自体は古くさいモノでしたし、エレキサウンドにびっくりしたとか言うことはありませんでした。だから、残ったのはやはりメロディー。私はジョンは聴いていなかった。私が聴いていたのは、ポールが歌う甘美な曲のみ。「Let it be」「Yesterday」「hey jude」ポップな「obladi-oblada」や「Here there & Everywhere」「For no one」あたり。「抱きしめたい」なんかは、カセット早送りして飛ばしてあまり聴きませんでした。苦笑。
でも後々色々な音楽を聞いた耳で、改めてビートルズを聴き直すと、ジョンのかっこよさ、ジョージとリンゴの音楽的センスの良さなど、解ってきます。「甘美なメロディーはポール」と書きましたが、その考えは明らかに勉強不足であり、「In My Lfe」「If I Fall」等のジョンのバラードの甘美さは、ポールに勝るとも劣らない。後のソロになってからの「Imagine」「jealous guy」等はもいいうまでもありませんね。
それと最近とみに思い知るのは、シンガーとしてのジョンとポールのすごさ。チャックベリーやリトルリチャード等の黒人ロッケンローラーのシャウトスタイルのそのうえに、彼らは「ハモリ」を乗せた。この彼らのヴォーカルスタイルは、ドゥワップ等黒人コーラスともまた違ったもので、ホントに画期的だったのではないかしら。とにかく「抱きしめたい」「A Hard Days Night」等、初期の曲のどれも、歌のパワーと元気の良さ、輝きががすごい。そのうえにあの曲の良さであるから、これぞエバーグリーンポップ、もう、たまらない。
でもやっぱりビートルズは自作自演。自ら曲を書き、歌も演奏もすべて自前でおこなうという、今ではしごく当たり前となったバンドの方法論を定着させ、私たちに解らせてくれたこと。音楽大学で難しい作曲の勉強などしなくても、アイディアやセンス次第で素晴らしい音楽が作れるんだということを実践してくれたことが、最大の功績ではないかしら。「歌や楽器の巧いヤツより、作詞作曲できるヤツの方が偉い」(偏見承知2)という固定概念をしっかり植え付けられ、その後のバンド活動でも明確に「作家志向」になったのは、間違いなくビートルズのせいでした。そしてその偏見と勘違いのせいで、自分は今でも、売れるあてどない曲を書いています。(笑)