ばーちゃんちの神様の部屋

敬老の日だったんですね。うちはもう、父方も母方も、祖父祖母はいなくなってしまった。淋しいです。親にも、どうやら孫も見せてやれそうにはないし。

うちの母方のばーちゃんは「イタコ」でした。神道系の何の宗派か詳しいことが今でも知りません。が、家の一室は大きな神棚で占領され、毎朝毎晩太鼓を打ち鳴らし、おつとめの「祝詞(のりと)」を欠かさず行っていました。一度本当に「降霊でトランス状態に」なった現場を見たような記憶もありますが、晩年70を過ぎてからは、「降ろし」は疲れるから止めた、といってやりませんでした。が、若い頃はたびたび請われてやっていたようです。

まあ無学で迷信深い田舎のばばあでしたが、孫たちのことは無条件で愛してくれました。祖母の家は駅3つ先で、比較的近かったので、高校時代学校の帰りにちょいと寄り道していったりもしてましたし、社会人になってからでも、逆に小遣いを貰ったりしてました。思い出す光景はいつも夏で、何故か祖母の家の「神様の部屋」で私、昼寝しているんですね。タタミのニオイとかをまだ覚えている。

学校の友人関係にも、家での親との関係にも、なんとなく嫌なことがあったようなとき、安心できる逃げ場、クッションの役割だったんですね。ばーちゃんち。陽の射さない暗い、ちょっと恐い神様の部屋。懐かしく思い出してしまいました。