[]アニメ「たまゆら」


■アニメ「たまゆら」オープニング・坂本真綾「おかえりなさい」



たまゆら」は、2011年から2013年まで断続的に放送されたアニメです。女子もののほんわかした日常話で、写真家志望だけど引っ込み思案な主人公が、友人や周囲の人々との交流を通して成長する姿が描かれています。


いわゆる青春群像ものなんですけど、ドラマチックな出来事やロマンチックな恋愛などは全く描かれません。ただもう、じれったいほどほわほわした、優しーーい女子登場人物たちの、盛り上がりのない日常が描かれるだけ。旧来のスポ根やらロボットアニメしか知らない人は「なんじゃこのダラダラは!」と思うに違いありません。でも近年、特に今世紀に入ってからは、こういう少女日常系アニメって結構多いんですよ。一つのジャンルになってさえいます。


で、なぜ私がそんなアニメを紹介するかというと、登場人物たちが暮らす街……「舞台設定」がすごいんですわ。広島県竹原市、&瀬戸内の大崎下島御手洗地区、という、がっちり実在の街に設定し、綿密に取材をして、これでもかと街の背景が描きこんである。ホワホワ夢見心地で現実味のない登場人物達との、見事な対比、そして美しさ。そう竹原市は、日本でも有数の「まちなみ保存地区」古民家、古商家が数多く残る、歴史とロマンの街なのですね。大崎下島御手洗地区も同様。瀬戸内の多島美の中に明治・大正の街並みが残る、リアルなタイムスリップ地区なんです。


ちなみにこの2地区は、アニメを知る前から、私の憧れの土地です。広島市内は訪れた事があるけれれど、こっちは行ったことがない。尾道や倉敷なんかも含めて、どうやら行けずじまいで終わりそうですが……。


だからオチを明かせば、結局アニメのキャラやストーリーよりも、その舞台背景への憧れに、突き動かされて観てしまった、んですけどね(苦笑)


このアニメが傑作かと言われれば、ちょっとためらいがあります。やっぱりあのホワホワした女子話はどうしてもじれったい面がある。しかしそうはいっても、繊細で傷つきやすい少女達が励ましあって青春を送る様は、ファンタジーでありえないとわかっていても、ひたすら美しい。可愛い女の子キャラと声優さんの可憐さへのスケベ心も手伝い、鉄壁な設定背景との対比で、私は面白く見られました。でも他人には勧められないか(笑)


■竹原町町並み保存地区を歩く 安芸の小京都)