アイドルにどハマリした一年


アイドルにどハマリで終わった一年だった。


といっても在宅でライブ現場は行ってない。足が悪く階段が苦手なのでね。確かに生を観ないと体感の部分が欠落するけど、つべもあるし、まあそれで良いかと思っている。


ロックファンがアイドルをバカにする構図って、未だにあるのだろうか?いつの時代の話だとも思うが、でも憤りはしない。解る人にだけ解れば良い。アイドルポップスに、例えば社会批判とか、人間存在の意味とか、音楽構成上の革新性とか、そういうのを求めるのは野暮だ。音楽にそう言うシリアスを求めるなら、別なフィールドに行けばよい。


アイドルヲタの間では「若くて可愛いのは正義」と言う凄い意見がある。勿論半分冗談だが、若いおねいちゃんが一生懸命歌い踊るのを観ていると、この言葉が真実と思えてくる。青春の短い時期を、汗にまみれ燃焼するその美しさ。それだけで胸熱く涙が込み上げてくる。甲子園球児と何処が違うのか。


現代アイドルは大変である。すべからく踊らなければいけない。ダンスも歌ももう独学はほぼ無理だろう。芸能スクールに入校しレッスンに明け暮れ、子供の頃から競争に晒される。生き残って活動にこぎ着けたとしても、そこに商業主義の大人が立ちはだかる。商品として売れるか、周囲の大人や会社組織に金を落としてくれる戦力になり得るのか。芸事とは別な色眼鏡でフィルタリングされる。そこをくぐり抜けたとしてもその後も大変。今や有り難いテレビ歌番組は無い。才色兼備の素材でさえ、小さなインストアかライブハウスのドサ回りから始めなければならない。勝手な大衆に罵倒され人格をも否定されても、笑顔で対応しなければならない。それも何年も何年も!


アイドル当人達だけでなく、周囲のスタッフも同様に大変だ。現代では一人の音楽プロデューサーが、作詞作曲編曲すべて賄わねばならない風潮になっている。人件費節減の都合からだろう。一蓮托生、そのプレッシャーはいかばかりか。最近はブログやツイッターで、そういう裏方さんの様子も、少しは一般に知られるようにもなってきた。数人の作曲家さんのブログを追っているが、やっぱり音楽に対する愛情、そのアイドルに対する愛情が半端なく、新曲の準備から発売までの仕事に込められた思いを、ひしひし感じ取る事が出来る。


裏方たるマネージャーや営業も同様だ。ダンスの振付け、PV撮影スタッフ、ライブクルー。一組のアイドルに付くスタッフは、決してビジネスと割り切ってはいない。やっぱりそのアイドルが好きで、彼女達がやっている音楽パフォーマンスが好きで、彼女達を何とかして望んでいる成功へ導こうと、寝食を惜しんでやっている。そういった周辺人脈の構図にも、涙を誘われずにはいられない。「それは音楽業界に限らず、どこの世界でも同じではないか」と言われればそうだが、やっぱり公務員とか会社員とかとは違うだろう。


このように周辺人脈の動向や思いまで、追えるネットの素晴らしさに感謝なのだが。


アイドル戦国時代と言われ、大手から地方零細、良心的企業からブラック企業まで、玉石混合むちゃくちゃな面白い時代のピークだ。しかしその何処にでも、少女達のまっすぐな思いと夢がある。歌が好き、ダンスが好き。打算やリスク回避などという老獪で卑怯な手管はそこにはない。音楽と言う宝物を、高く背伸びをして必死で掴もうとする、純粋な少女達の姿が、そこにもここにもあるのだ。