perfume海外進出へ


perfumeがレコード会社移籍、に伴って、海外50カ国での配信展開をするそうだ。メンバーの悲願である全世界進出が、いよいよ始まる。ワールドツアーの実現も夢じゃないどころか、かなりの確率で現実となるだろうと思う。日本のミュージシャンがどうしてもやり得なかった、海外での恒常的な活動すら、彼女達なら出来るかもしれない。そう私は思っている。



口パクアイドルが片腹痛い、とおっしゃる御仁は、この際放っておくが(黒笑)でも基本的に欧米音楽の模倣から出発する自作自演のロックミュージシャンではなく、昔から続くアイドル文化の果てに立つperfumeだからこそ、海外の人はそこに独自性を観るのではないか。意思を剥奪されたようなヴォコーダー・ヴォイスに、お遊戯とも取れる変テコなダンス。それを年齢不詳の東洋人の少女が歌い踊る。この構図はなかなかにキッチュだと思う。


世界を席巻する「ヲタク文化」も、彼女達を後押しするだろう。パフュは漫画・アニメとは直接関係ないが、3人それぞれ自分のキャラを演出し、可愛いく魅せるのは勿論「萌え」についても結構意識していると思う。海外のパフュファンの投稿カキコを観ると「KAWAII!」「DAISUKI!」なんて日本語ローマ字が頻出している。漫画の2次元キャラのみならず、3次元のアイドルに対しても「KAWAII!」が使われる。幼さを逆手に取る「可愛い文化萌え文化」が理解され、海外に浸透している証拠だと思う。パフュの場合はもうちょっと成熟しているし、ちょっとだけセクシー路線も入る。「幼さ可愛さ」と「成熟したセクシーさ」このバランスが一番良いと思う。


このように、前途洋々に見えるperfumeだが、しかしやっぱり心配はある。


ひとつは以前から書いているが、欧米のミュージックビジネスの巨大さ厳しさ、そして暗黒の部分に、彼女達が飲み込まれてや行かないかと言う点だ。契約のひとつ、売り上げノルマのひとつにしても、相当厳しく設定されることが予想されるし、ドライな契約社会・競争社会のアメリカなんかでは、ハードなプレッシャーに潰され、男と麻薬に溺れてしまうとかもあり得なくはない。おお考えたくも無い。(><)


もいっこ。これは日本語文化が海外で通用するか否かの問題まで行くのだが、perfumeは相当部分、「ぶっちゃけキャラの面白トーク」で、売ってる部分が大きい。例の広島弁丸出しの天然MCだね。当然アレは、海外では全く通じない。魅力の片翼が削がれたまま勝負するようなもの。これは辛い。まさか短期間で英語を完璧にマスターした上に、あの面白トーク同様の「英語なりの面白さも駆使した」トークが出来るか。それはちょっと無理だろう。


本業の歌と踊りについても心配だ。perfumeは歌って踊れても、ブロードウェイ女優のような、強烈な歌声とダンスを持つ必要はさらさらないと私は考えている。がしかし、ディーバ(熱唱型本格派)以外は認めないとか、シンガーなら譜面ぐらい読んで即時対応しろとか言われた時、どうするのか。それこそ口パク人形が片腹痛い呼ばわりされた時、どう対処するのか。クチパクを一切止めてぜえぜえ言いながらも生で歌い踊れとは言わないが、簡単な譜面なら初見でさらりとハモリをこなせるぐらいのハッタリは、利かせてほしいかなあとも思う。……って、ああ俺もやっぱりロックの側に立つ人間だからそう思うのか。


ともあれ、日本の可愛い少女文化が海外に浸透しつつある現在、Perfumeにとっては千載一遇のチャンスだし、彼女達がその形をたもったまま通用するか否かは、震災以降世界に注目される日本文化の今後を、大きく左右するかもしれないのだ。(大マジ!)