芸術歌曲的歌謡曲


ふう。正月明け数日の仕事が結構疲れてしまいますね。今朝などは恐ろしく寒いし。


年末年始休みは、今もですが、買った音楽ライブDVD3枚をとっかえひっかえ観てるウチに終わってしまいました。キャロル・キングジェイムス・テイラーバッド・カンパニー、それとperfume(笑)パフュームが一番ヘビロテだったりしますね。ともかく飽きない。東京ドーム公演のヤツも出るそうだし、もう買うのは必至(笑)


さて、おととい、お若いネット友さんとちょっと、懐かしの昭和ポップスの話に反応してしまいました。リアル世代のワタシには「あなたよくこんな、生まれる前の曲知ってるわね!」とびっくりしたんですが。その曲がこれです。


ビリー・バンバン「さよならをするために」(1972)



・・・フォーク歌謡(?)の名曲中の名曲です。作詞はあの、石坂浩二さん。画家としても有名です。多才ですねえ(@@)作曲は「もしもピアノがひけたなら」等も書いている、坂田晃一さんという方。この人のメロが素晴らしくてねえ。ヨーロッパ的とも言えるクラシカルな格調と哀感がなんともいえません。ビリバンは近年「また君に恋してる」で再評価されてますね。


■森山良子「さよならの夏」(1976)



・・・で、ワタシから、同じ作曲家さんのこの曲をお薦めしました。まったく美しいワルツ。日本の曲じゃないみたい。


70年代には特に、時々こういう「芸術歌曲的歌謡曲」が、突如出現するんですね。流行のリズムとかとはまったく無縁。詞も叙情より叙景、美しい情景描写を織り交ぜる。80年代後期〜90年代前期のバブルの頃には、こういう曲ってあまりなかった気がします。近年では「千の風になって」なんて曲が出ました。好き嫌いは別にして、何か世相の変化や日本人のこころの見直しを感じましたね。


・・・で、「芸術歌曲的歌謡曲」今回のメインディッシュは、これ。


雪村いづみ「今はバラ色が好き」(1977)



・・・当時の、あまりヒットしなかったテレビドラマの主題歌だったのですが、小学生だったワタシの耳にも、その美しさと、「流行歌とはちょっと異質だな」という印象は強く残っていました。さもあらん。作詞はあの詩人の谷川俊太郎さん(!)でした。言葉の、日本語の美しさ。転調を含むメロディーの見事さ。そしてもちろん、雪村さんの歌唱の素晴らしさ。親にシングル盤を買って貰ったはずだけど、どこへ行ったかなあ。この歌はピアノ伴奏でクラシックのソプラノの方が歌っても、とても美しくなると思います。


「今はバラ色が好き」
作詞:谷川俊太郎 作曲:福田峻


菜の花の小さな黄色が好き
ねころんで見上げる空の青が好き
消えかかる虹の七色を
たしかに見たと思ったときには
どの色も悲しいほどきれいに見えた


でも何故か今はバラ色が好き
明けゆく空のひそやかなときめきが
あなたの胸にあふれてくる そんな色
今はバラ色が好き


栗の実のやさしい茶色が好き
すきとおる若葉の緑色が好き
二十四色のクレヨンを入学祝いにもらったときには
どの色もこわいくらいにきれいに見えた


でも何故か今はバラ色が好き
忘れえぬ夢のひそやかな思い出に
あなたの頬がそまっている そんな色
今はバラ色が好き


(『谷川俊太郎 歌の本』 講談社
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