塀の中でもIT革命

・・・さて、国営放送ニュースで「某社会復帰促進センター」という、新規オープンする施設を紹介していた。名前から「リハビリ施設かな?」と思ったがさにあらず。「刑務所」なのである。

この刑務所が画期的なんだそうな。いわゆる「半官半民」経営で、刑務官の他に民間の警備会社の社員も勤務する。そしてIT化を究極まで押し進める。所内にはテレビカメラ監視システムはもとより、受刑者に常にICチップの名札着用を義務づけ、GPSで位置管理すると。人件費を画期的に減らし効率化した、新世紀にふさわしい刑務所であるそうだ。

・・・このニュースを見て、なんか本能的に、危機感・嫌悪感を感じた。コンピュータに管理を任せた都市がシステムエラーによって機能マヒを起こし、住民の生命を巻き込んで壊滅していく。そんなSFを思い出してしまった。

刑務所は「規則正しい生活と労働によって、罪の反省を促し、社会に健全に復帰」させるのが目的だ。拘束し監視し自由を奪うのは、やむをえぬ手段であっても目的ではないはずだ。職業訓練や農作業を通し、心を更正させるには、やはり「人との触れあい」が絶対必要で、刑務官の仕事はむしろそちらが主眼ではないのか。なのに人件費削減、監視・管理強化とは、目的がはき違えられてはいないのか。こんな冷たいシステマチックな塀の中では「社会復帰」は「促進」されるのだろうか。はなはだ疑問に思う。