プラモ少年だった〜田宮のウォーターライン・シリーズ〜

そう、子供の頃はおこずかいをもらったら、まず何を差し置いても「プラモデル」買いに走ったものだった。

ウルトラマン本放送を知る世代なので、地球防衛軍のメカとかはさんざん作った。向こう、英国の、サンダーバードから始まる例の人形特撮シリーズのメカも、全部揃えた。でかい島の秘密基地モデルまで持っていた(笑)

やがて小学校の高学年になってくると、それまで好きだった地球防衛軍メカとか、モーターで動くレースカーモデル、いわゆる「ミニ四駆」なんかは「ちょっとガキね」と思い始める(笑)そこから何に行くかというと「旧軍隊モデル」に行く。太平洋戦争当時の戦車とか飛行機とか、ただひたすら組み立て飾るだけのシロモノだ。これは渋い。これぞ男の趣味である。(と、10歳の私は思った……笑)

で、そこでも友人との競争がある。当時私のプラモライバルだったヤツは、ドイツ軍の戦車がかっこいいと言って、そこから地上戦の戦場をフィギュアを使って再現する「ジオラマ」というジャンルに走った。それがまたカッコイイ。フィギュアの台座や樹木・建物など、メカ以外のものも揃え、塗装はもちろん、地面の質感を出すために、なんか怪しげな粉と薄めた接着剤をまぜ振りかけたりしていた。

これはヤバイ、同じジャンルをやったのでは負ける。

いろいろ私は考え、ひらめいたのが「旧海軍の軍艦プラモ」を集めること。これはまだ仲間内では誰もやってなかった。名案だと思ったが、その考えはオモチャ屋に行って程なく挫折。当時何しろ軍艦モデルは高かったのだ。ガタイも大きくて、数百円で買えるモデルはなかった。

そんな私に天使が微笑む。「田宮模型」という会社が、「ウォーターライン・シリーズ」と銘打って、安価で、大きさも小振りの「旧海軍の軍艦プラモシリーズ」を、次々出してくれたのだ。私は狂喜乱舞し、お小遣いは全部これに使った。誰でも知ってる戦艦大和はもとより、空母、巡洋艦駆逐艦、かなり揃えた。組立設計図に船の歴史みたいなものも添えてあって、それのおかげてちょっとした「旧海軍・連合艦隊博士」にもなれた。(笑)

このシリーズは船の下半分を大胆にもにカットしたつくりで、完成するとまるで「海に浮いている」状態となる。連合艦隊、海のジオラマ作りも可能なわけだ。ところが・・・肝心の「海」をどうやって作るか、ちょっと困った。何せ「海」のプラモデルは、この世の中には存在しない。

そこで私は絵を描いた。画用紙をつなぎ合わせ、船を配置し鉛筆で形をなぞる。その周囲に白波が立つ感じで下書きし、残りの部分はブルーで塗った。自分でもなかなかの出来映え。得意満面さっそくライバルの友達に見せた。

ヤツ曰く「この海、紙じゃん。変」

・・・・そんな私の屈辱を載せた船達も、いまや全然残っていない。子供だし、いぢっているうちに壊すんだね。やがて中学になると、バンドや漫画描きに行ってしまったし。

先ほど「田宮模型」のサイトを覗いてきた。「ウォーターライン・シリーズ」がまだ健在で、嬉しくなってしまった。通販で買って、また揃えようかな。プラモ親父になろうか(笑)

http://www.tamiya.com/waterline/index.htm